先日、動物臨床医学会で
犬の認知機能不全症症候群(認知症)について話をきいてきました。
今まで加齢により、だんだん耳が遠くなってきた、歩き方がおかしい、ずーっと寝ている、夜中におきるようになるなど老化による変化を「年だね」とか「人の痴呆みたいだね」と言っていた事を、
「認知症の疑いがあります、検査をしてみましょう」または
「認知症の症状がでてきているから治療をしましょう」
に変えていく事がこれから必要になりますよ、または、早期に発見することが大切ですよ、と言った話でした。
では、なぜ、認知症の検査や治療が必要なのか?
それは、動物も高齢化が進み脳の老化も進んでいきます。また、その老化による変化が何もしないでそのまま見届ける事と、環境の修正や行動の修正、栄養的介入と薬物療法をする事で、認知症の症状の進行を送らせる事ができることが分かってきました。
認知症は、脳が萎縮して症状がでるために、完全に完治する事(脳を元の状態できない)ができない事と
重度に進行すると昼と夜が逆転してしまい、更に夜泣きを延々と続けることが認知症の最終ステージになります。
この段階までくると飼い主さんは夜な夜なつきっきりになり、睡眠不足になり近所への迷惑からストレスも大変なものになってしまいます。そこまで症状が進んでしまう前に、認知症について理解をしておく事が早期発につながっていきます。
認知症の症状は、12歳で約3割、16歳で7割近くが1つ以上の認知低下の兆候を示すと言われています。
猫でも15歳以上で約5割みられます。
私たち動物病院も若いときから健康について、病気について、高齢化による問題などホームドクターとして話をしたり、相談しやすい関係を築く事が大切だと感じました。
犬痴呆(認知症)の診断基準100点法をのせていますので、採点してみてください。
更にこの診断基準プラス時間の経過も考えると、より症状の進行ぐあいが分かります。
例えば、後退行動の「狭い所に入りたがる」も月に一回みられたのが、週に2〜3回、ほぼ毎日などおかしい状態がみられる頻度も大事に評価ポイントになります。