前回、年齢と関係なく健康診断で、歯石や肥満について気をつける必要性を書きましたが、
今回は、老化と共に働きが悪くなったり、変性と言って、元の状態に戻らなくなる疾患について説明します。
体の各組織は新しく作り替えながら再生をしていきますが、心臓と神経は成長が終わるとそれ以降は同じ組織で働いているので、壊れれば機能は落ちていきます。また、腎臓も体のフィルターとして働いていますが、その構造が複雑な為に一度壊れると元に戻りません。
再生できない臓器として、心臓、神経、腎臓を老化していく体から守って行くかが大切になります。
心臓病に関しては、先天性の疾患もありますが、後天性の場合には、小型の純血種で多くみられます。
マルチーズ、ヨークシャテリア、ポメラニアン、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、キャバリア・キング・チヤールズ・スパニエル、シーズーなどです。逆に、柴犬では発症の年齢も遅く、進行も遅いことから、遺伝が原因と疑われていて、特にキャバリアでは、他の犬種より若い年齢で発症する傾向にあります。
更に、遺伝だけではなく、口腔疾患による細菌性心膜炎や慢性腎不全や副腎機能亢進症による全身性高血圧も心臓への負担を増加させるので、異常を早期に発見する事が大切になります。
健康診断では、8歳から心雑音が発見された子から10歳以上で見つかるケースが増えています。
神経に関しては、脊髄神経の変性により後ろ足のふらつきや立つ事が困難になったり、すぐに転んだりすることや人と同じように脳の機能障害により痴呆もみられます。
健康診断では、心臓病より症状の発見される年齢は遅く、14〜15歳以上でみられました。しかし、大型犬のゴールデンでは、9歳で後肢の軽度の麻痺と関節疾患がみられています。
関節疾患は、手首、肘、膝、股関節とまとめて集計すると、心臓疾患より頭数も多く、大型犬で肘や股関節炎が多く、小型犬では膝での関節炎が多くなっています。その要因の一つに肥満も関係している事から、体重管理も重要になってきます。実際関節炎を年だからと考えて何も処置しないで、次第に動きも悪くなっていることから、病気として治療する事で、動きの改善する事を知っていただき楽しい生活をより長くおくってもらいたいです。
今回検診を受けた子で痴呆はみられませんでしたが、脳内のEPAやDHAなどの必須脂肪酸が不足する事も原因から、サプリメントや魚からとる事を勧めています。
腎臓については、猫で腎不全が死因のトップになります。なぜ、猫で?と疑問に思われるでしょうが、原因は不明です。
犬との違いで考えると、猫の先祖は砂漠で生活していたので乾きに強くあまり水を飲まないと言われています。なので、尿も濃縮されて濃いものとなります。更に、犬よりも肉食な為に食べるタンパク量も多くなります。タンパク質の分解物も腎臓に負担をかけます。
では、腎不全になりにくくするために何ができるかと考えると、水分を多くとる事で尿の濃縮や腎臓へ障害を与える物質なども薄める事が可能なのではと。自然で獲物を捕らえていれば、水を飲まなくともお肉の70%は水分です。ドライフードの水分は10%以下です。同じ必要な栄養をとってもフードと共に水分をとる必要があるのではないかと考えます。缶詰もいいと思いますが、歯石など口のメンテナンスも一緒におこなわないと違う病気が増えそうですね。
但し、もう既に腎不全になっていれば腎臓食を勧めますし、食べなければ腎臓食にこだわらないで何でもいいから食べてもらわないといけないので、腎不全になりにくくなる為に水分を多くとることを考えてもいいのではないかと思います。